肺腺がん、扁平上皮がんステージ2、ステージ3、ステージ4の抗がん剤治療と副作用と、治療の流れ

こんにちは。加藤隆佑です。

今日は、がんの治療の、分岐点をお話します。この分岐点をしっかりと認識すると、よりよい治療結果をだす工夫をすることにつながります。

段階1、生活習慣によるがんの予防

ふだんから、食生活を工夫したり、体を整える漢方を飲むとよいです。

さらに、喫煙は、肺がんのリスクを非常にあげます。禁煙をすることが、肺炎の危険を下げます。

喫煙以外では、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)、職業的曝露(アスベスト、ラドン、ヒ素、クロロメチルエーテル、クロム酸、ニッケルなどの有害化学物質に曝されている)、大気汚染(特に粒径2.5ミクロン以下の微小浮遊粒子[PM2.5]が浮遊している)、肺がんの既往歴や家族歴、年齢などが発症する危険性を高めると考えられています。

きれいな空気の元で生活することも、必要です。

段階2、がん(腺がん、扁平上皮がん)の早期発見

肺がんは、早期発見で、かなり高い確率で、完治します。

定期的に、肺の検査を受けると良いです。

段階3、外科的な手術ができる段階で、肺がん(腺がん、扁平上皮がん)が見つかった場合(ステージ1、ステージ2、一部のステージ3A)

安全に切除できる場合は、手術で切除してもらいましょう。

最近は、がんが小さければ、放射線治療だけでも、根治になることも増えてきました。

診断がついた時点から、漢方を飲んだり、薬膳的な食事をとります。つまり、東洋医学的なことを、加えるということです。体を動かすことも意識します。そのようにして、手術や抗がん剤治療に耐え抜く力をつけることができます。

ちなみに、ステージⅢAで、2群に分類されるリンパ節に転移している場合は、手術だけでの治療は不十分です。

「手術→化学療法(放射線治療を併用することもあり)」を行ったり、「放射線治療、抗がん剤治療をした上で手術」といったように、状態に応じて、治療方針が変わります。

段階4、肺がん(腺がん、扁平上皮がん)が、外科的な手術で切除できない段階で見つかった段階(一部のステージ3A)

大きすぎたり、肺尖部にあるために、手術で取り除けない場合もあります。そのような場合は、放射線治療や化学療法を用いて、手術ができる状態になるように試みます。

そして、手術ができるほど、小さくなれば、手術に踏み切ります。

抗がん剤としては、以下のどれかが、用いられることが多いです。

カルボプラチン+イリノテカン併用療法,カルボプラチン+パクリタキセル療法,シスプラチン+ドセタキセル療法

段階5、外科的な手術で、無事、肺がん(腺がん、扁平上皮がん)を取り除いた段階

ここが大きな分岐点です。

再発の危険があります。再発の危険度によっては、抗がん剤治療を、受けることが、推奨されることもありあります。

2cm以上の肺がんで、ステージⅠA,ⅠB期で腺がんならば、テガフール・ウラシル配合剤療法を行うように推奨されています。

それほど、負担のかからない抗がん剤治療です。

ステージ2、3Aならば、シスプラチン併用化学療法を行うように推奨されています。

手術単独に対する「シスプラチン+ビノレルビン」の生存率向上は,ステージ2で「43%から54%」,ステージ3で「225%が40%」です。

しかし、シスプラチンは体に負担のかかる治療であり、シスプラチン併用化学療法による治療関連死は約1%で認められています。

以上より、負担のない範囲で抗がん剤治療を受けることは大切です。

そして、再発率は、数%下がります。しかし、それだけでは、十分な治療効果とは言えません。さらに、漢方や、薬膳的な食事といった東洋医学的なことを、加えましょう。

再発する確率を、さらに、0に近づけることができます。

この段階で、漢方や、薬膳的な食事を取り入れることは、非常に重要なのです。

—–

877症例の胃がんの手術後の生存率と食生活の関連を検討した愛知がんセンターからの報告によると、豆腐を週に3回以上食べていると、再発などによるがん死の危険率が0.65に減り、生野菜を週3回以上摂取している場合の危険率は0.74になることが報告

—–

これは胃がんにおけるお話ですが、肺がんでも同じです。がんを抑えることと、食事内容には、強い関係があることを、知っておいてほしいです。

また、漢方は、適切な内容で、必要な用量をしっかり飲みましょう。そのようなことをしっかりと助言できる方から、漢方を提案してもらうと良いです。漢方は、インターネットでも、信頼できるものが、容易に入手できます。

段階6、 肺がん(腺がん、扁平上皮がん)が、ステージ3Bで見つかった段階

手術をすることが、難しいとされています。放射線治療や抗がん剤治療が中心となります。

段階7、肺がんが再発した場合、もしくはステージ4と診断された段階

肝臓、肺、腹膜、複数のリンパ節に、がん細胞がある状態のことです。この状態は、がん細胞が、体に広く散らばっていると予想されます。

抗がん剤治療が中心となります。その治療により、体に広く散らばっているがんが、制御できたと予想される場合は、根治を目指した手術が、なされることがあります。

また、「ステージ4=末期がん」と、思われがちですが、ステージ4でも、完治される方は、います。

私が考える末期とは、自分の力で歩くことも食事をすることもできないほど、弱りきっている段階と考えます。そのような段階にならない限りは、受けるべき治療はあります。

ステージ4、もしくは、再発をした場合の抗がん剤としては、以下のものが用いられます。

・EGFRという遺伝子の変異が陽性の肺がん

はじめに、イレッサ(ゲフィニチブ)、タルセバ(エルロチニブ)、ジオトリフ(アファチニブ)のどれかによる治療になることが多いです。

それが効かなくなった場合は、EGFR T790Mという部位の変異があるかどうかを調べます。もし変異があれば、タグリッソ(オシメルチニブ)による治療になります。

もし変異がなかった場合や、タグリッソ(オシメルチニブ)が効かなくなったら、分子標的薬ではなく、通常の抗がん剤(▲を参照)による治療になります。

また、EGFRという遺伝子の変異が陽性の肺がんに対しては、オプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害薬は用いられません。

・ALK遺伝子の変異が陽性の肺がん

はじめに、アレセンサ(アレクチニブ),ザーコリ(クリゾチニブ),ジカディア(セリチニブ)のどれかによる治療になります。

例えば、初回治療のザーコリ(クリゾチニブ)が効かなくなった場合は,アレセンサ(アレクチニブ)もしくは、ジカディア(セリチニブ)による治療が推奨されます。

その治療も、効かなくなったら、分子標的薬ではなく、通常の抗がん剤(▲を参照)による治療になります。

肺腺がんにおいて、遺伝子変異が陽性になることが多いです。扁平上皮がんにおいても、遺伝子変異が陽性の場合は、分子標的薬による治療になります。

・EGFR遺伝子変異やALK遺伝子転座のないPD-L1陽性腫瘍細胞(TPS)が50%以上の方

キートルーダ(ペムブロリズマブ)という免疫チェックポイント阻害薬が推奨されます。

その治療が効かなくなったら、分子標的薬ではなく、通常の抗がん剤治療(▲を参照)による治療になります。

・EGFR遺伝子変異やALK遺伝子転座のないPD-L1陽性腫瘍細胞(TPS)が50%未満の方

はじめに、抗がん剤治療(▲)となります。

4から6サイクルの「シスプラチン(CDDP)+ペメトレキセド(PEM)」「シスプラチン(CDDP)+ジェムザール(GEM)」「カルボプラチン+TS-1」「カルボプラチン+パクリタキセル」「カルボプラチン+アブラキサン」といった治療法が選択されます。

つまり、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチンといった白金系という分類になるお薬を併用する治療になるということです。

注意点として、扁平上皮がんでなければ、ベバシズマブも、併用されます。

また、ペメトレキセド(PEM)は、扁平上皮がんの場合は、用いられません。

4から6クールで、がんをある程度縮小させたら、その後は、シスプラチンやカルボプラチンを含まない抗がん剤治療が中心になります。体に負担がかかるために、長期間にわたって、シスプラチンやカルボプラチンを、投与し続けれないのです。

例えば、「シスプラチン(CDDP)+ペメトレキセド(PEM)」で治療を受けていた方ならば、ペメトレキセド単剤になることが多いです。

そして、上記の治療が効かなくなった場合は、ニボルマブによる治療か、「ドセタキセル±ラムシルマブ」,「アリムタ(ペメトレキセド)単剤」,「TS-1」の中で、受けたことがない抗がん剤となります。

そして、以前のように、エルロチニブは、用いられなくなりました。

もし、「ドセタキセル±サイラムザ(ラムシルマブ)」,「アリムタ(ペメトレキセド)」単剤,「TS-1」単剤のどれかしか治療の選択肢が残っていないならば、治療の手詰まり感は、否めません。

そのような段階になったときには、下記のことも、再検討しましょう。

なんらかの治験も視野にいれることができないか?
放射線治療を、本当にすることはできないのか?
漢方を取り入れていたならば、今のままの漢方でよいか?

また、私の著書である抗がん剤治療を受けるときに読む本のp26には、ステージ4のがんを、食事療法で小さくさせた事例があります。

食事内容に気をつけることにも、注意を払ってください。さらに、漢方をたすと良いでしょう。

東洋医学的な治療により、がんを抑えることができるというデータは、複数あります。

段階8、肺がんステージ4や再発の段階で、すべての治療をやり終えて、緩和ケアを提案される段階

そのような段階であっても、有効な治療があることがあります。

以下のような治療を模索する価値はあります。

なんらかの治験も視野にいれることができないか?
放射線治療を、本当にすることはできないのか?
漢方を取り入れていたならば、今のままの漢方でよいか?
ラジオ波で、局所コントロールができないか?
道注療法をする適応はないか?

さらに漢方を取り入れれば、楽に、1日でも長く生きられることにつながります。

痛みがあれば、しっかりとりましょう。モルヒネ(オキシコンチン、フェントス)もよいです。同時に、極力少ない量の痛み止めで、痛みをとる工夫も必要です。

また、痛みをとることを不得手とする医師もいます。うまく痛みをとれないときは、他の医師に相談をすることも大切です。

仮に、抗がん剤、手術ができない段階であったとしても、やるべきことがたくさんあることは、覚えておいてくださいね。

漢方は、取り入れるべき治療の主役の1つです。緩和的な放射線治療も、有効なケースが多いです。

この段階における治療は、決まったルールがあるわけではないので、医師の力量が問われるところなのです。

肺がんに負けない体を作り、肺がんを克服していきましょう。

治療歴15年目のがん治療専門医によるがん治療のサポート

がん治療の悩みをとる遠隔診療

抗がん剤治療の悩みをとるメールマガジン

抗がん剤治療を受けるときに読む本

がんを克服するための食事法

がんと治療による苦しみを無くし、一日でも長く生きるためにすべきこと

今日からできる抗がんの薬膳

これだけは知っておきたい抗がん剤治療

加藤隆佑プロフィール

小樽協会病院 消化器内科 主任医長
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
肝臓専門医
内科認定医
がん治療認定医

手術、放射線療法、抗がん剤の副作用、食事療法、免疫療法など、がん治療に関わることをアドバイスしています。